こんぺいとう【2】
「待って、なに怒ってんの」
「......怒ってなんかないです」
「うそ」
「怒ってなんか、ないです、っ、」
もうやだ、もうやだもうやだ!
「花音っ?」
いきなり泣き出した私の背中を先輩は恐る恐る撫でてくれた。
泣くのは嫌なのに、全然コントロールできなくて。
「花音、俺......ごめん」
「っちょ、」
ふわっ、と、 突然包まれた先輩の腕の中で私は固まった。
「ごめん、ちょっとこのまま聞いて」
耳元に感じる宇野先輩の声。
心臓がうるさい。
呼吸ができなくなる。
ずるいよ、ほんと。
「俺は本気で花音が好きだよ?なのになんで構うなとか、離れてとか、そんなこと言うの?」
「っ」
「花音は、俺が嫌い?」
「......きらいだよ、」
いっぱいの力で先輩を押し退けた私の声は、笑っちゃうくらい震えていた。
「私は先輩の......皇くんの、妹になりたいわけじゃないんだよ」
皇くんの好きと、私の好きは全っ然違うんだよ。
「悪いけど俺、花音のこと妹なんて思ったことないよ」
「うそ!だって彼女がいるって、言って、」
「誰が」
「奏、くんが」
「......あんのくそバカ」