こんぺいとう【2】










「待って、なに怒ってんの」

「......怒ってなんかないです」

「うそ」

「怒ってなんか、ないです、っ、」


もうやだ、もうやだもうやだ!


「花音っ?」


いきなり泣き出した私の背中を先輩は恐る恐る撫でてくれた。

泣くのは嫌なのに、全然コントロールできなくて。


「花音、俺......ごめん」

「っちょ、」


ふわっ、と、 突然包まれた先輩の腕の中で私は固まった。


「ごめん、ちょっとこのまま聞いて」


耳元に感じる宇野先輩の声。

心臓がうるさい。

呼吸ができなくなる。


ずるいよ、ほんと。


「俺は本気で花音が好きだよ?なのになんで構うなとか、離れてとか、そんなこと言うの?」

「っ」

「花音は、俺が嫌い?」

「......きらいだよ、」


いっぱいの力で先輩を押し退けた私の声は、笑っちゃうくらい震えていた。


「私は先輩の......皇くんの、妹になりたいわけじゃないんだよ」


皇くんの好きと、私の好きは全っ然違うんだよ。


「悪いけど俺、花音のこと妹なんて思ったことないよ」

「うそ!だって彼女がいるって、言って、」

「誰が」

「奏、くんが」

「......あんのくそバカ」





< 78 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop