こんぺいとう【2】





ふわっと、また温かい感覚。


「って言うか花音もバカだよ」


そう言って、私の肩に顔を埋めた皇くんがうんざりとため息を吐いた。

皇くんの匂いで包まれた私は、理解できないままに首を捻る。


「彼女なんていないし」

「......っえ、」

「奏の言うこと信じちゃダメでしょ」

「でもでも、見たもん!皇くん、仲良く女の子と腕組んで歩いてて、それで、その、」

「なんで俺に聞かないの」

「......聞けないよ、本人に」


聞いて事実だったらどーするの。

立ち直れないじゃん、そんなの。





「花音は、俺のこと好き?」





分かってるくせに、この人はほんとにいじわるだ。


「き、嫌いじゃない、です」

「ふはっ、そっか」


そうやって笑って、皇くんは私のほっぺたに触れるだけのキスを。


「っへんたい!セクハラ!奏くんに言いつけますからっ!」

「......奏ねぇ、」


その時の皇くんの声と言ったら、春先の心地いい風とは全くミスマッチな負のオーラが滲んで真っ黒だった。



【嘘つきは誰だ】
(あのシスコン、ぜってーシメる)
(き、キャラが違うっ)






< 79 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop