こんぺいとう【2】
ふわっと、また温かい感覚。
「って言うか花音もバカだよ」
そう言って、私の肩に顔を埋めた皇くんがうんざりとため息を吐いた。
皇くんの匂いで包まれた私は、理解できないままに首を捻る。
「彼女なんていないし」
「......っえ、」
「奏の言うこと信じちゃダメでしょ」
「でもでも、見たもん!皇くん、仲良く女の子と腕組んで歩いてて、それで、その、」
「なんで俺に聞かないの」
「......聞けないよ、本人に」
聞いて事実だったらどーするの。
立ち直れないじゃん、そんなの。
「花音は、俺のこと好き?」
分かってるくせに、この人はほんとにいじわるだ。
「き、嫌いじゃない、です」
「ふはっ、そっか」
そうやって笑って、皇くんは私のほっぺたに触れるだけのキスを。
「っへんたい!セクハラ!奏くんに言いつけますからっ!」
「......奏ねぇ、」
その時の皇くんの声と言ったら、春先の心地いい風とは全くミスマッチな負のオーラが滲んで真っ黒だった。
【嘘つきは誰だ】
(あのシスコン、ぜってーシメる)
(き、キャラが違うっ)