こんぺいとう【2】
「っ、んー……」
暮れがかりの空と朱に染まる田んぼが外一帯に広がった頃、右耳のすぐ下で憎らしい寝ぼけ声が聞こえた。
この街にもこんな長閑(のどか)なところがあったんだー、なんて、呑気に感心してたせいで怒鳴るのも忘れたて。
「んあ……悪ぃ、」
「いいえ」
「……つーかさ、ごめん、ここどこ?」
「さぁ、私に聞かれても」
悪気を微塵も感じない態度に素っ気なく答える。
「え、まじ?」
「……まじ」
「うわー、ごめん」
寝顔を盗み見たときも思ったけど、隣で髪をかき上げた彼はやっぱり美形だった。
……こう言う奴、苦手だ。
「よっし、」
「へっ、え、ちょっ!」