こんぺいとう【2】
ざあざあと強い雨が降っていた。
ほんの1時間前まではまた明るかった窓の外、いつの間にこんなことになったのか。
梅雨の天気は全く気まぐれだ。
朝の予報では久しぶりの晴れだなんて言ってたくせに......。
「どーしよっかな、」
少し熱中しすぎてしまった。
手の中の小説を閉じながら吐いたため息は、無人の図書室に溶けていった。
この降り方はたぶん通り雨。
もうちょっと待ってれば止むとは思うんだけど。
「問題は時間ね」
閉門時間が迫っている。
追い出されるのは時間の問題だ。
窓はしっかり閉めているのに、どこかから忍び込んだ湿気が肌に当たって気持ち悪い。
もういっそ濡れて帰ろうかな。
そんなに遠いわけじゃないし、傘もないんだし仕方がない。
施錠をしっかり確認して、重たい足を職員室に向けた。