こんぺいとう【2】
「ねぇねぇ」
「……え、」
いつもなら誰もいない通学路。
声にビックリして顔を上げると、自転車を押して近づいてくる彼の姿があった。
「おはよぉ」
「お、おはよう、」
「一緒にいかない?」
「え?」
「学校、一緒にいこう?」
「……あ、うんっ」
窓を挟んでしか見たことがなかった彼が、今は触れられるくらい近くにいて。
「実はね、ずっと前から気になってたんだ」
「…………?」
「いつもすれ違う電車の同じ場所に、同じ学校の子がいるなーって」
「っ、」
やっぱりバレてたんだ。
毎日、私が見てたこと。
恥ずかしくて恥ずかしくて、顔に熱が溜まっていくのが分かった。
「でね、毎日盗み見てたんだけど、今日は目が合っちゃったような気がして」
「……っえ?」
「なにあいつキモいって思われて、明日から違う車両に乗っちゃったらヤダなーって思って」
恥ずかしそうにぽりぽりほっぺたを掻きながら話す彼の言葉に、ドキドキと胸が鳴った。
「だからこれきっかけに話しかけてみた」
ニコリと、始めてみた彼の笑顔に完全にノックアウトされてしまった私は。
「わ、私も、前からずっと見てたの」
正直に薄情してみると、彼は一瞬キョトンとしたあとにふんわりと笑った。