ウソつき悪魔
私は早歩きで部屋に戻った。


「お待たせ…」


「おー、きたか。どれどれ…」


カイルは、ココアをちょびっと飲んでから一気に飲み干した。


「………うまい。」


「ほんとう!?よかったぁ…、クッキーもあるよ」


「ん、クッキーもうまいな!」


喜んでもらえてよかった…!

私は自然と顔が綻んだ。

今なら…、願い叶えてもらえるかな…。


私は勇気を振り絞った。


「お願いが、あるの…!」

「願い?」


「うん、あのね…。お兄ちゃんとずっと一緒にいたいの、でも、お兄ちゃんは東京の大学に通ってるから滅多に会えないし…、


私には親がいないから、お兄ちゃんだけが唯一の家族なの…、私は家族と一緒にいたいの。離れたくない!

カイルの魔法とかでなんとかならないの!?」


い、言えた…。


「…ホントに、叶えてほしいのか?」


「え?」


「…俺たち悪魔が人間の願いを叶えるには契約が必要不可欠だ。だが、契約してる間は、俺たち悪魔は人間の生気を吸いとり続ける。

人間の生気があることで悪魔は生きることが出来るんだ。もちろん変わりに願いは必ず叶える。どっちもどっち、って訳だ。」


それ、確かミリエルも言ってた… …、本当だったんだ…。


でも、でも…


「それでもお兄ちゃんといたいの!!お願い…、契約……して。」
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