Loving you
「まぁまぁ空太君、大丈夫よ。私の仕事だから」

そう言ってママは最後にこうつけたした。

「それよりも、空太君と夏果、時間平気なの?」

えっ? 時間? えっーと、私が部屋を出たのが、8時くらいでー、
それから、何分たったっけ? 抱きしめられていたせいで緊張して時間が
何分経過したか、全くわからなかった。

「空太君、時間大丈夫だよねー、あははー、さっもうそろそろ
家でようか」

そういいながら笑顔は見事にひきつっていた。だって初日から遅刻とかないでしょ。
うん、それはないよね?まさか、私が遅刻なんて…。

「なつ、今8時10分だ。走るぞ」

そういって空太は素早く革靴履き、あたしも素早く靴を履き、急いで家をでた。

「いってらっしゃーい」

お母さんの楽しげな声がきこえた。まるで私全部見てたわよ、と言いたげな声で。

それより、さっきの空太の瞳、そのまま吸い込まれちゃうぐらい綺麗だった。抱きしめられた温もりは、忘れられない温かさだった。

そう思うと勉強ばっかで運動不足な私の心臓がバクバクなっているのに加えて
キュンとする甘い苦しさが胸を襲った。
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