執事の詐欺
本当にこの人はありのままの自分でいるから羨ましい。
それでもAクラスなのだから相当頭がいいのだろう。
「あ」
沈黙が続いた中で瀬名さんが呟き出した。
あたしの顔を見て、ニヤリと笑う。
「お前、ちょっと立ってみ。」
瀬名さんがそういうので、あたしは素直に立ち上がる。
すると、瀬名さんがあたしの腕に手を乗せる。
グイッ
「ひゃあっ」
・・・腕を引っ張られて引きずり込まれる。
背中に暖かい温もりがあって、ミントのような爽やかな香りが鼻をすする。
「どう?男と密着してる感想は?」
はい???
瀬名さんの言葉に思わず眉が釣り上がる。
でも・・・よく考えてみると、この状況・・・
あたしが瀬名さんの足の間に入っていて、すっぽりと腕の中に入っている状態。
しかも、目の前には瀬名さんの胸・・・
「やっ/////離して!!!」
「反応が新鮮だねぇ」
と言っているだけで、あたしの要望に応えてくれない。
むしろ、あたしを見てニヤリと笑っている。