執事の詐欺



書斎のドアの目の前に来た。


この中に執事がいる・・・


どうしよう・・・・


絶対、やだ・・・



「香弥、ノックするわよ?」

でも・・・


「はい」

としか言えない。



コンコン



「香弥か?中へ入りなさい。」


ノックの後に、そんな声が聞こえた。


それ従ってあたしは書斎へと入っていく。


「失礼します。」



軽く礼をして、お父さんの方へと近づく。


「香弥、わたしの隣にいる人が、香弥専属執事だ。」


お父さんの隣を見てみると、スラッとした長身に無造作に整った黒髪。
形のいい輪郭とキリッとした目・・・



どこかで見たことのある人がいた。


「はじめまして、お嬢様。今日からお仕えさせていただきます。葉津海 瀬名と申します。」



あたしに向かって頭を下げる。


「あ、はい。よろしくお願いします。」


あたしもつられて挨拶してしまった・・・。



< 6 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop