執事の詐欺
書斎のドアの目の前に来た。
この中に執事がいる・・・
どうしよう・・・・
絶対、やだ・・・
「香弥、ノックするわよ?」
でも・・・
「はい」
としか言えない。
コンコン
「香弥か?中へ入りなさい。」
ノックの後に、そんな声が聞こえた。
それ従ってあたしは書斎へと入っていく。
「失礼します。」
軽く礼をして、お父さんの方へと近づく。
「香弥、わたしの隣にいる人が、香弥専属執事だ。」
お父さんの隣を見てみると、スラッとした長身に無造作に整った黒髪。
形のいい輪郭とキリッとした目・・・
どこかで見たことのある人がいた。
「はじめまして、お嬢様。今日からお仕えさせていただきます。葉津海 瀬名と申します。」
あたしに向かって頭を下げる。
「あ、はい。よろしくお願いします。」
あたしもつられて挨拶してしまった・・・。