執事の詐欺
にっこりと笑う葉津海さん。
多分、あたしとそんなに歳の差はないと思う。
それに
この人・・・見たことあるんだよなぁ?
どこでだっけ?
「香弥、瀬名くんを案内してやってくれ。」
葉津海さんを凝視して考え事をしていたあたしに、お父さんが向かってそう言った。
「はい。わかりました。」
あたしは葉津海さんを連れて書斎を出ていった。
「香弥様」
後ろから呼び掛ける葉津海さんに
「何ですか?」
「もうこの家は全て把握しておりますので、案内は結構です。」
えっ?
そうなの?
住んでいるあたしさえ時々迷子になってしまうほど無駄に広い家なのに・・・
葉津海さん・・スゴい。
「あ、でも・・・香弥様のお部屋が分かりませんね。ご案内していただけますか?」
えっ、あたしの部屋?
行ってなかったんだ。
「あ、はい・・・じゃあ、こちらへ」
あたしは葉津海さんを誘導して部屋へと向かった。