もしもキミが。
遠い記憶

 「ちぃひぃろぉ~。弁当食べよっ!!」

 私の学校は、給食じゃなくてお弁当。

 正直、給食に憧れたりもする。うん。

 でもまぁ、嫌いなものとか出ないからいいけどねっ。

 「うん。んじゃ、いつものとこ、行くよっ?」

 千尋が言うこの「いつもの場所」。

 それは、中庭。

 夏は暑いし、冬は寒い。

 春は虫が多く、秋は木の葉が多い。

 そんな評判の悪いところだけど、

 私と千尋にとっては、

 すごくすごく大切な場所。

 私たちが出会った、思い出の場所……。

 毎日中庭で千尋とお弁当と食べる。

 いつかの約束の通りに。

 「ここへ来ると、思い出すよね……。」

 中庭についたとき千尋が言ったこの言葉。

 私の記憶も、昔に戻る。

 あのころに…。
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