もしもキミが。

 ~3年前の四月~

 「はぁっ。」

 中学生になるとき、私は引っ越してきた。

 だから当然、知ってる人なんていない。

 地元の小学校から来た子たちとも、なじめなくて。

 1人、お弁当を持って中庭へ逃げてきた。

 「誰もいないしっ。」

 1人でそう呟いて、花壇に座ろうとしたときだった。

 「ま、人がいるはずないかっ。」

 そんな声がした。

 私は頭より体が先に動いて、

 いつの間にか走り出していた。

 花壇を3つ過ぎたところで女の子が座っていた。

 私と同じように、お弁当を持って息を切らしていた。


 私と一緒だ。


 何故だかそんなことを思って、思わず近づいていった。

 そのうちに、その子が同じクラスの子だったことに気付く。

 
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