無邪気な欲望


私はフンッと大げさな動作で顔を横に背けた。



「先輩みたいにルーズで不真面目な子供、生んだ覚え無いです」



「聞こえてんじゃん……」



当てつけがましく嫌味を言ってみたけど、先輩は少し苦笑いしたくらいで、どこか楽しげだし、私の気持ちはちっとも晴れない。


いつもそうだ。
どうしたって雑賀先輩のペースに巻き込まれて、良いようにあしらわれてしまう。


そしてまた、先輩のせいで会話が脱線している事に気づき、私は強引に話を元に戻した。



「とにかく! 今まで何度も注意してる、その身なりを何とかして下さい!!」



「え~」



「え~じゃないです。そんな格好だと受験にだって差し障りが……」



「あっオレ、受験しないからヘーキだし」
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