無邪気な欲望


確かに。


そこには身体検査中の風紀委員と、制服の内ポケットを探られている生徒がいた。


だけど制服に手を入れられているのは、女生徒ではなく男子生徒で、何もヤラシイ事なんてされてない。


言いがかりをつけられた男子風紀委員はブンブンと頭を振って、身の潔白を主張していた。



「や~い、ダマされてやんの~」



「なっ!!」



人を小バカにした発言を残して、雑賀先輩は校舎に向かって走っていた。



「ちょ、どこ行くんですか~!! 身体検査はまだ……」



「また今度な~。マヌケなちまちゃ~ん」



こちらを見向きもしないで手だけを振っている先輩の背中は、そのまま校舎の中へと消えてしまった。
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