無邪気な欲望
でも手を上げた本人はまるで気にする様子がない。
それどころか、いじけている私をさらにへこます様な恐ろしい形相で、こちらを睨みつけて言い放つ。
「だってじゃない!? そんなん今さらだろ?」
「そうだけど……」
確かに今に始まった事じゃない。
私が風紀委員になった4月頃からずっと、注意してはからかわれて逃げられて、そして風紀委員の先輩に怒られて……。
そんな事の繰り返し。
「だったら! いつまでもブツブツ言ってないで、黙って食べな!!」
叩かれた頭をさすりながらグズグズ言う私を一喝して、晶ちゃんは再びメロンパンをかじり始めた。
「で、でもね。今日は雑賀先輩の事だけじゃないの」
食事を再開した晶ちゃんにしつこく話を続ける。
今度は晶ちゃんの眉間に深いしわが刻まれてしまった。