無邪気な欲望
「小さくないったら、ないですっ!? それに私は『ちま』じゃありません! 『ちな』です! 遠・藤・千・奈!! 何度言えばわかるんですか!?」
「え~。ちまの方が合ってんだろ~。チビでちまちましてっから」
語尾にマークをつけた可愛らしい素振りの発言は、またしても私の身長を小バカにしたセリフだった。
も~う許せない。
チビだのちっさいだの自分がおっきいからって、人のコト見下して!!
何よ、バカ~!!
「わ、私はチビじゃないもん!! ちまちまだってしてないもん!! 大体先輩は……」
私は思わず大きな声で子供みたいに反論したけれど……。
「はいはい、ストップストッ~プ!」
両手を上げて降参のポーズを取った雑賀先輩に話を遮られてしまった。
「あ~わかったわかった。……つーか、ちま。声デカい」
言って、雑賀先輩は辺りに視線を移す。
つられて私も周りの様子を確認する。