無邪気な欲望
私達、なんだかとっても目立っていたみたい。
身体検査中の風紀委員はもちろん、登校中の生徒達も私達のやり取りを興味深げに見守っていた。
「!!」
は、恥ずかしいっ。
みんなに見られてたと知った途端、体温が一気に上昇して顔が赤くなっていくのが嫌でもわかった。
だけど――――。
もう一人の注目の的である雑賀先輩は、まるで気にしていなくて、むしろこの状況を面白がってるみたい。
ギャラリーの女の子達に手なんか振っている。
呆れて怒る気も失せてしまった。
「先輩といるとロクな目に合わないです」
がっくりと大げさに項垂れて深いため息をつく。
愛嬌を振りまいていた雑賀線先輩は視線を戻し、そんな私の様子に傷ついたような素振りを見せた。