無邪気な欲望
今までこんなに雑賀先輩に近寄った事、ない。
耳元に寄せられる唇。
すぐそばで感じられる息遣い。
ある意味、くっつけられるより意識してしまう距離感だった。
触ってもいないのに近づけられた部分が熱を持っていく。
そして……。
今まで聞いた事もない少しかすれた甘い声が、私に囁きかけて来た。
「気持ちいいコト、しよっか?」
「!!」
体が瞬時にして硬直した。
『雑賀先輩には近づくな!!』
晶ちゃんの言葉が脳裏をよぎる。
私、絶対絶命?