夏コイ★1ヶ月の特別な時間
そんなあるとき、男の家の前を歩いていると、中からすすり泣く声が聞こえた。
どうしたのか、と家の中を覗くと、そこには子狐の亡き骸を抱いた男が泣いていたのだ。
何があったのですか?と女がきくと男は涙を流しながら答えた。
まだ母親と一緒にいなくてはならない子狐が人間の使う銃で撃たれた。と
自然界の弱いものが強いものに食われるのは掟だから仕方の無いこと。
だけどたかが人間の遊びとして殺されていく動物達を見ているのがかわいそうでならない。と
俺は、人間として生まれたことが恥ずかしいのだと彼は言った。
包帯で巻かれた子狐の亡き骸。
おんなはその亡き骸を男から預かった。
私が、この亡き骸を埋めましょう。
この狐に幸せの意味をもう一度教えてあげましょう。
そう言って女は狐の住むこの山に塚を立てた。