箱の内の少女
白い箱
-----白。
目を開けた私は思った。
真っ白な壁紙。
白い床。
白い棚。
白い椅子。
白いベット。
それらは無機質にたたずんでいた。
私の視界にあるすべての物が白のような気さえした。
私は、ぐるりと無駄に広いその空間を眺めた。
昨日となにも変わりない。
ここはある病院、2階の一室。
正式的には、その部屋のベットの上。
もっと正式的にいえば、そこでぼーっと大して何もしていないのが、私。
西城ことは。
14歳。
5年前からここにいる。
好きなものは花。
嫌いなものはニンジン。
私は時刻を確認した。
まだだれも来ないはず。
私はゆっくりベットから降りた。
素足のままでぺたぺたと床の上を歩く。
スリッパはすぐ近くにあったが、歩きづらく、ひどく邪魔に思えたのでやめた。