箱の内の少女
霧と歌と
ことははまた、あの部屋で目を覚ました。
ゆっくりと上半身を起してみる。
体が少し汗ばんで、気持ちが悪かった。
長い夢を見た気がする。
昔の...五年前のあの夢を。
時計を見ると朝5時半を指していた。
どのくらい眠っていたのだろうか。
...考えるだけ無駄だ、と言う結論にたどり着いた。
今日も何も変わってない。...変わらない。
ゆっくり目を瞑る。
――――――かすかに聞こえた歌声。
はっと目を開ける。
聞こえるはずがない、気のせいだ。
――――だめだ、気になって仕方ない。
この気持ちを晴らすべく昨日と同じ事をすることにした。
この気持ちを、この意識を晴らすべく、だ。