箱の内の少女


白い廊下、
白い階段、
白い壁、
白い床。

どこを歩いて、何を見ても何も変わらないこの白い箱。


ゆっくり、
ゆっくり、
一歩ずつ、
昨日と変わらず。


―――――変わらない白い箱に変わらない私。

―――――お似合いじゃないか。


中庭に降り立つ。

さくっ、とまたあの軽い音。


寒い。

それでも私は歩いた。

痛い。

それでも私は歩いた。

歩いて歩いて。

息が荒い。

でも、私は“行く”。



しかし、意思と裏腹に体が悲鳴を上げた。


「....うっ...。.くぅ....っ!」


胸が痛い。気持ちが悪い。頭が痛い。体が重い。


―――――目が、熱い。



私は芝生に倒れこんだ。

だけど、意識は手放さなかった。



立ち上がれ、私の体。

あの、歌声の聞こえた大きな木は、すぐそこだ。



ほら、聞こえる。

あの歌が。




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