箱の内の少女
探し物
ことははあの後、誰にも何も聞かなかった。
自分に起こった事に確信が持てなかったのだ。
そのため、ことははあまり気にしないことにした。
それから数時間後。
唐突に病室の戸が勢い良く開いた。
「ことはー!きたぞっ!」
と、この施設に不釣り合いのバカでかい声と共に人が走って入ってきた。
ここが1人部屋だからよかったものの、普通の部屋なら即追い出されていただろう。
「どうした、ことは?そんな難しい顔して。」
このどうしようもないうるさい奴は、私の幼なじみと言う奴だ。
神田清汰(かんだせいた)。14歳、中学二年生。
ちなみに現在サッカー部所属だとか。
「ドア、閉めろ。さっき看護師、に、睨まれたよ。」
そう私が言うとありゃ、と首を傾げながらドアを閉めに行った。