白銀の女神 紅の王Ⅱ
「気づいてたなら何で言ってくれないの!?」
信じられない…とばかりに口にするエレナ。
見下ろした先には赤く染まった耳。
相当恥ずかしかったようで、エレナの抗議は止まらない。
「私…気づかないで……あんなこと……」
おそらく自分が口走った言葉の数々や、先ほどのことを思い出しているのだろう。
ブツブツと呟きながら後悔の言葉を口にするエレナ。
しかし、今はエレナの小言を聞いている時ではない。
「ちょっと黙ってろ。」
再びエレナの口を塞ぐ。
「え……んんッ!」
あんなこと…と言われたのが気に食わなかったのか、大人げないと思いながらも先ほどよりも長い口づけをする。
ドンドンッといつものように胸を叩かれたのは言うまでもない。
しかし、その抵抗も暫くすればなくなり、エレナは体を震わせて意識を手放した。
「鬼畜ですね。」
俺の腕の中でぐったりするエレナを見て、ウィルがため息交じりにそう言う。
「放っておけ。それよりもニーナ。」
「は、はい!」
即座に返事をするニーナの頬は真っ赤。
これは…先が思いやられるな……
だがエレナよりは知識はあるだろう。