白銀の女神 紅の王Ⅱ



本当に傍にいるだけなのだ。


エレナの方からは何も求めてこず…

ただ傍にいられるのが嬉しいかのようにニコニコして。

アーク王国の再建と反逆者共の始末で夜遅いにしろ。

後宮へ帰ってくれば、安心したように俺の腕の中で眠る。

本当に俺の想いをちゃんと理解しているのかも怪しい。



傍に居てニコニコしているだけがお前の役割だと思うな…と言いたいところだが……


相手はエレナだ。

10年間の監禁生活で、どこかズレた所があり。

もちろん、そっち方面の知識にも疎い。

20にもなる女がキスしただけで真っ赤になるなど珍しいものだ。

そんな反応も初々しく面白いのだが、先が思いやられたのも事実。

実際、あの後からエレナに触れようとするとビクッと身体を震わせて強張るのだ。


そんなエレナを目の前にして、強行するわけにもいかず。

本当にどうしようもないくらいに、この腕の中の女に囚われているのだと確信した。

昔の自分が見ていれば卒倒しているな…



そんなことを思いながらフッ…と笑う。




しかし―――――

いつまで我慢しろと言うんだ…

こうしてエレナを腕に抱いているだけなど限界がある。



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