白銀の女神 紅の王Ⅱ
答えなど一つしか許さないが、一応聞いておく。
「俺の妃になるか?エレナ。」
すると、指輪に見入っていたエレナが顔を上げる。
しかし、その表情にはまだ迷いがあった。
その迷いの色が見える顔で口を開こうとするエレナにくぎを刺す。
「先に言っておくが、自分でいいのかなどと言う馬鹿げた質問はなしだ。」
こんなプロポーズが他にあるだろうか。
半ば強引に進められる一連のやり取りに、どこか世間とはずれた感覚を味わう。
だが、エレナにはここまでくぎを刺しておかねばならない。
最初が肝心だ……
「俺はお前しかいないと最初から言っているんだ。答えは“はい”か“いいえ”で答えろ。」
一瞬、銀色の瞳を見開き、次の瞬間には細められた。
顔から迷いの色が消え、エレナは口を開く。
「…っ……はい……」
嬉しそうにそう言った後、俺の胸にそっと体を寄せた。
「愛しています、シルバ。」
「当然だ。」
エレナの体を抱きしめ、そう答えながらも心の中では安堵していた。
そして、どちらともなく離れ、見つめ合い、唇を重ねた。