白銀の女神 紅の王Ⅱ
しかし、予想通りエレナはぼーっとしたまま暫く考える。
やっと意識がはっきりした頃には、難しい顔をして口を開く。
「あれ…そう言えば……どうやったらできるんですか?」
問いに問いで返され、盛大なため息を吐く。
やはりそう言うと思った…
頭を抱えていれば、俺のため息に慌てたエレナがとんでもないことを口走った。
「あの…私頑張りますから…だから教えて下さい。」
「ッ………!」
おそらく…いや確実に自分の言った意味が分かっていないエレナ。
教えるだと……?
出来るならとっくにやってる。
だがエレナを抱けば自分をコントロールできる余裕などなくなることなど容易に想像できる。
純真無垢で知識のないエレナに手を出せば嫌われるか泣かれるなどと言う事態は避けたい。
エレナの言うとおり先に教えていた方がいいのか……
そう真面目に思いつつ、エレナを抱えたまま声を上げる。
「ニーナ」
「ははは、はいッ!」
侍女の名を呼べば、勢いよく返事をしながらガサッと音を立ててニーナが現れる。
「ウィル、お前もだ。こそこそ隠れてないで出てこい。」
その言葉に、立ち上がったニーナを追うようにして二つ目の影が現れた。