何かが浮いてた。

自分に与えられた席につくと、
真咲が近づいてきた。

手にはビンに入った物体を持っている。


「これ、返すって」

そう言って、真咲は物体を差し出す。
丁度いいから、物体の話を持ち出そう。

「これ、なんだか解る?」

真咲は首を振る。
それはそうだろう。

「3日に、空に浮かんでたんだ」

へぇ、と言って物体を覗き込んでいる。

「可愛いね、ピンクだし」

…ピンク?


昨日は白かったと思うのだけれど。


「桃の節句だからかなぁ?」

小首をかしげながら真咲が言う。
そうか、桃の節句だからか。

いや、3日には白かったけれど。

真咲が言うのだから、
そういう事にしておこう。

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