Birth.117.121

何処に居る人も、もちろん普段大阪で目にする人と同じ雰囲気を持っている。
当然だ。

賑やかなアーケードの商店街を歩く。歩く。

所々シャッターが閉まっていたり、昔からの佇まいの店と目新しい店舗とが入り交じっていたり。

ふと路地を入ると一件の喫茶店があった。

中には沢山の人が、決して綺麗とは言えない関西弁で笑っている。

何気なく釣られて入ったその店でナポリタンを注文した。

―兄ちゃん仕事の一段落?

―おん。何も食わんとここまで来たから、タイミング逃してめっちゃ腹減ってんねん。

―えらい遅いお昼やな、どっから来たん。

―大阪。

店にもよるが、こんなやりとりは大阪も神戸も変わらない。

うまいナポリタンと陽気なおばちゃんを心地よく堪能し、店を後にする。

この店も、仮設で作られたプレハブ建築だ。
外装、内装等あったものじゃない。

明らかに簡易で建てられた......、もしくは手直しされた店や家が他にも沢山ある。

13年。

長くても、短くても、
人も街も、まだ『途中』なのだ。


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