Birth.117.121
―独りで出稼ぎやったら食べるもん適当してんねやろっ、どうせ。
―これ持って帰って食え。
―それとも毎日連れ込んでるんか?
毎日のように売れ残った食べ物を俺に山程持たせてくれた。
そんな親父さんが一度だけ口にした言葉がある。
―あの時は、大変やったで......
笑顔でそう言った。
『大変やったで……』
その言葉の本当の重みを俺は忘れてはいけない。
そして、全てに絶望する中で、何かの“生まれた日”に出来る事が少しでもあるなら、それは自分自身が見つけて行かなければ……
あの日の4日後、暗闇の中で生まれた甥っ子は、
明日13歳になる。
もう13年。
まだ13年。
完