Birth.117.121

―独りで出稼ぎやったら食べるもん適当してんねやろっ、どうせ。

―これ持って帰って食え。

―それとも毎日連れ込んでるんか?


毎日のように売れ残った食べ物を俺に山程持たせてくれた。

そんな親父さんが一度だけ口にした言葉がある。



―あの時は、大変やったで......


笑顔でそう言った。




『大変やったで……』




その言葉の本当の重みを俺は忘れてはいけない。

そして、全てに絶望する中で、何かの“生まれた日”に出来る事が少しでもあるなら、それは自分自身が見つけて行かなければ……


あの日の4日後、暗闇の中で生まれた甥っ子は、
明日13歳になる。



もう13年。
まだ13年。







< 17 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop