Birth.117.121
何が起こったのか、常識の中で成り立つ思考では判断出来ず、俺は直ぐ様テレビのスイッチを入れる。

そして『やはり』地震だったのだと再認識するのだ。



大阪 震度4
神戸 震度6



当初報じられた情報は、後に訂正される。

に、しても

震度4の揺れを体験した恐怖は、当然そのまま震度6の数字の比較対象になった。

震源地ではどんな事が起こったのか?

そんな、想像にならない想像をしたのを覚えている。

直後に見たその速報は、正にただの速報であった。

死者1名。

記憶は定かではないが、倒れた箪笥に頭をぶつけ、運悪く命を落とした…...というような報道だった。

人命は尊い。とは言え、毎日のように人が死に、それが報じられるテレビの中の話。

やはりその時もいつもと同じように、


―何処かで起こった不幸な話。


そんな風に感じながら布団に戻ったのである。

その時、

すぐ隣の都市で、想像すら及ばないような事態が起こっている事も知らなかった。



< 3 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop