Birth.117.121
人は皆、世界は自分中心に回っているかのような錯覚を少なからず持っているものだ。
接点が無ければ無い程、少なければ少ない程、悲劇も『対岸の火事』に過ぎない。
想像や常識を超える位の出来事。
その僅か一部でも体感している出来事でさえ、自分の今居る空間だけがリアルなのだ。
悲しい人間の性だ。
事の大きさは理解出来るものの、何だか現実味のないまま、何となく、恐る恐る、各方面に電話する俺。
が、繋がらない。
しかし不安感はあるものの、常識は思考をその範囲の中にしか留めない。
ここに、電話のこちら側と向こう側の決定的な温度差が存在する。