Birth.117.121
当時勤務していた自動車修理関係の仕事場は、吊り上げられていたはずの車が地面に落下し、横を向いてボンネットを開けていた。
古いブロック塀には僅かにヒビが入り、一部が崩れ落ちていた。
大阪の街は比較的天災に見舞われにくい。
いつもそうだ。
いつもそうだった。
経験した事のない被害を、どこかの災害を、いつもテレビの中で知る。
台風も、津波も、雪崩も、火山も、大雨も、洪水も、戦争も…...
地震も。
そして時が経ち、何時しか自然に忘れて行くのだ。
いや、忘れる訳でも記憶から消える訳でもない。
ただ、記憶自体が被害者と比べ、意思に関係なく、元々あまりにも薄く軽いのか。