Birth.117.121
たまたまの隣接都市。
小さな恐怖は共有しているつもりでも、その実何もわかってはいない。
検討違いも甚だしい。
それはどんな災害も、事件も事故も同じだ。
あの日、姉夫婦が被災した。
からくも『大事な』何かを奪われる事はなかった。
彼女は妊娠していた。
あの日の4日後、余震の恐怖に脅えながら、電気の回復しない部屋で無事に出産を遂げた。
あの日産まれた彼も、もう13歳になる。