名探偵と弟
校長が死んだ時は、なぜか、
英雄扱いをされた。
嫌われている校長であった。
「生きてるって言うのは、痛みがないと分からないのよ」
彼女は、
また腕を切ったらしい。
正直、僕は彼女に死んで欲しくなかった。
別に彼女が好きだからではない、
目の前で死体なんて見たくなかったからだ。
本当は、他人が死ぬのを見たくなんてない。
謎なんかどうだっていい。
密室にしたいなら、勝手にすればいい。
氷のトリックを使いたいなら、勝手に雪国に行けばいい。
僕は、そんなトリックや、犯人の心情はどうだっていい。
彼女は、
側に居たいと言った。
僕は、
勝手にすればいいと言った。