四十階段物語



「いい?何があっても振りむいちゃダメ。般若に喰われても知らないわよ?」

「や、やっぱりボク帰っ・・・」

「馬鹿か!ここまできたら上りきるのが男だろうよ!」

「まずそんな話嘘だって」



ていうか般若って人喰うのか?

・・・そういや般若って何だ。

妖怪扱いされてるが。


「ショウタ、アホな顔」


何だと。


「般若はね、能の面のことよ。二本の角がある鬼女で、なんだったっけ・・・憤怒、嫉妬、苦悩だったっけ、を、表すんだって」

「やけに詳しいな。そして何故それを俺に言う」

「家にお面があるのよ。全く趣味悪い。今のあんたのアホ面みて考えてることなんてお見通しよ」



さいですか。

俺は般若は男だと思っていたことを心の内にしまった。



< 21 / 52 >

この作品をシェア

pagetop