四十階段物語
「いい?何があっても振りむいちゃダメ。般若に喰われても知らないわよ?」
「や、やっぱりボク帰っ・・・」
「馬鹿か!ここまできたら上りきるのが男だろうよ!」
「まずそんな話嘘だって」
ていうか般若って人喰うのか?
・・・そういや般若って何だ。
妖怪扱いされてるが。
「ショウタ、アホな顔」
何だと。
「般若はね、能の面のことよ。二本の角がある鬼女で、なんだったっけ・・・憤怒、嫉妬、苦悩だったっけ、を、表すんだって」
「やけに詳しいな。そして何故それを俺に言う」
「家にお面があるのよ。全く趣味悪い。今のあんたのアホ面みて考えてることなんてお見通しよ」
さいですか。
俺は般若は男だと思っていたことを心の内にしまった。