四十階段物語




一度悪い想像をしてしまったら、その後の道のりが長く感じる。

段数をカウントするのに早く60になれという気持ちが先走ってミスしてしまうほどだ。


「ビンゴ、大丈夫か?」

「は、はい・・・」


辛うじて返事はしているが、不安だ。


「サクラ・・・」

「早く行きなさいよ!ペース乱れてるわよ!」


サクラは気が気でない様子で・・・。


「さっきから数え間違いばっかりよ!私がやるから、あんたはペース上げて!」


俺の仕事を奪い取った。


言いつけどおり俺は階段をのぼる足をはやめる。

それとともにサクラの数える段数も多くなる。





< 32 / 52 >

この作品をシェア

pagetop