いぢわる兄は同級生
▽ぶさいくウサギ
「いいか、お前ら。夏休みだからってハメ外しすぎるなよ。それと‥‥」
風がぬるい、蒸し暑い教室。
高校生活もあっという間のもので、今日は一学期の終業式。
うちわがわりに、パタパタと下敷きを扇ぐ音がいろんなところから聞こえる。
担任がこれから始まる夏休みの注意事項を話しているのに、それを真面目に聞いてる人なんてほとんどいない中。
あたしはチラッと隣の水樹を盗み見た。
「‥‥‥‥」
先生の話を聞くでもなく、机に突っ伏して寝ているわけでもなく。
水樹はただボーッと窓の外を眺めている。
視線を前に戻すと同時に、小さなため息がこぼれでた。