いぢわる兄は同級生
「あーっ、あたしあそこ行きたかったの!栄介、ついてきて!」
「うわっ、みぃちゃん早いからっ‥‥‥」
デパートの中に入るやいなや、合宿で必要なものを買いに来たはずなのに、栄介くんを引っ張ってあちらこちらを歩き回る雅。
取り残されたあたしは、気まずさを感じながらも、不機嫌な水樹の横を歩く。
「もう、雅‥‥なにしに来たんだか」
会話がなくて、雅の行動に呆れて口出ししてみると‥‥。
「じゃあ、お前の右手に持ってるそれはなんだ」
「‥‥‥あ」
水樹に言われて、ちゃっかりさっきそこの売店で買ってきたイチゴ味のソフトクリームをチラ見する。
なんだかんだで関係ないものを買ってしまってるあたしも、人のこと言えないし‥‥。
「だって‥‥おいしいんだもん」
「理由になってねぇよ」
「水樹‥‥まだ怒ってる?」
「別に‥‥‥」
口ではそう言ってるけど、やっぱりどこか不服そうで。
なんだか怒られた気分になって、少しシュンとする。