いぢわる兄は同級生
なにより、好きな水樹の幸せを心から願えないことに、自分の情けなさを感じる。
「ご、ごめん‥‥ね」
喉に突っかかっている言葉を飲み込んで、振り絞るような小さな声で呟いた。
なぜだか涙がでそうになって、その顔を見られたくなくて俯く。
今、まだ水樹は不機嫌な表情をしてるのか。
携帯の向こうの結衣ちゃんを想って、どんなことを考えているのか、俯いているあたしには分からなかった。
「バカもー子なんて謝ったって、許してやんねぇ」
やっぱり怒ってる?
いきなり上から降りてきた冷たい言葉に、思わず泣きそうな顔を上げた。
でも、そこにあったのは、冷たい言葉とは裏腹に、いつものいぢわるな表情を浮かべている水樹の顔だった。