いぢわる兄は同級生
「あたし‥‥行くから」
また少しだけ溢れだした涙を、ジャージの袖で拭ってあたしは水樹の手を振り払った。
そのまま保健室を出る。
あたしを見ていた水樹の表情は‥‥どんな顔をしてるのかが怖くて、見れなかった。
パタン‥‥‥。
足早に廊下を歩いて逃げてきたのは、保健室から少し離れた女子トイレ。
静かに扉を閉めた途端、涙が止まらなくなった。
「‥‥っふぇ‥‥‥ぅっ‥」
声にならない嗚咽が、やむことなく出てくる。
ジャージの袖が、びしょびしょになっても、涙は止まらなかった。
自分で選んだことなのに、どうしてこんなにも悲しいんだろう。
水樹が大好きなのに‥‥心から水樹な幸せを願えない自分が、すごく悔しい。