いぢわる兄は同級生
「そろそろ行かなきゃ‥‥」
いつまでもここにいるわけにはいかない。
まだマネージャーの仕事だって終わってないのに。
気持ちを切り換えるように、一回大きな深呼吸をして、トイレから出る。
手洗い場の鏡で顔を確認するとその姿に苦笑を浮かべた。
泣きすぎて充血した目に、真っ赤な鼻。
不細工すぎる‥‥‥。
どうして大地先輩はこんなあたしなんか‥‥‥。
「そういえば‥‥あたし、大地先輩に告白されたんだった‥‥」
思わずハッとして、さっきの出来事を思い返す。
水樹のことで、すっかり忘れてたけど‥‥どどど、どうしよう‥‥っ。
今日はまだ合宿一日目だっていうのに‥‥‥これからどんな顔して話せばいんだろ‥‥。
てゆうか、あたし大地先輩の告白に返事すらしてないし‥‥。
というか、別に『桃子ちゃんは?』とかって聞かれたわけでもないのだから、返事はしなくてもいいのだろうか‥‥。