いぢわる兄は同級生








「‥‥‥‥‥え‥‥」




そう言った結衣ちゃんの口元は微かに口角が上がって、微笑んでいる。



でも‥‥‥あたしをまっすぐに見る目は、まるでいつもの可愛らしい結衣ちゃんじゃない‥‥。




少し足がすくむ‥‥‥。


この空気から今すぐ逃げ出したい‥‥。





どうして‥‥‥どうして、結衣ちゃんはあたしにそんなことを聞くのだろう。



自分が、さっき水樹とキスしていた時の光景が頭に浮かぶ。





いつもと様子の違う水樹は、あたしの首もとに顔を埋めて‥‥確かあの時。


少しだけチクンと痛みがしたような‥‥‥。






動揺しながらも、ぐるぐるとあたしの思考回路は回り続ける。







‥‥‥‥あっ‥。









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