いぢわる兄は同級生
「おい、もー子!!早く飯食わねーとおいてくぞ」
急いで朝ごはんのトーストをかじるあたしを急かすように、隣で新品ブレザーを羽織る水樹。
ちょうどよく伸びた水樹のオレンジ色の髪が、フワッとなびく。
「んぐっ、ま、待ってよっ!!てか、あたしもー子じゃなくて"桃子"だから!!」
残りのパンを全て口に押しこんで、温かいミルクを飲みこむ。
「あっつ!!ふぇー‥‥舌ヤケドしたぁ‥‥」
顔を渋く歪ませてペロッと舌を出すあたし。
ウエハラ モモコ
上原桃子。
通称、もー子。
「ばーか、慌てっからだよ」
と横で憎まれ口を叩くコイツは、一応あたしのお兄ちゃんである。
ウエハラ ミズキ
上原 水樹。
兄といっても、離れているのはたったの5日で。
ちなみにあたしに"もー子"というあだ名を付けたのもコイツ。
3年前の親の再婚でキョウダイになったあたしたちは、義理の兄妹。