いぢわる兄は同級生
「‥‥‥はぁ‥‥‥」
逃げるようにして、女子トイレまで来ちゃったけど‥‥‥今度は戻りづらくなっちゃった‥‥‥。
手洗い場の鏡の前で、ため息をつくあたし。
「‥‥‥水樹のバカ‥‥」
人差し指を自分の唇に押しあてる。
いぢわるだし、ムカつくし。
よく考えたら、あんな奴にファーストキスとられちゃうなんて‥‥‥やっぱり後悔。
だいたい、あたしたちは兄妹なんだよ?
あんなのキスのうちに、入るもんか!
なんとなく怒りを感じながら、あたしは水道水をすくいあげ、そのまま口を何度も洗った。
「さすがに、そろそろ戻んなきゃね‥‥」
けっこう時間が経っていることに気がついて、気まずいけれど、教室に戻ることにした。
普通に‥‥今まで通り接しよう。
そう心の中で何度も繰り返して。