いぢわる兄は同級生
ガラガラガラ。
渋くなっている教室の後ろのドアを開ける。
「っせーぞ、バカもー子。あんまりおせぇから、終わっちまったじゃねぇか」
水樹は机の上に座って、あたしのほうを見て言った。
「ごっ、ごめん‥‥‥」
いつも通り‥‥。
普通に‥‥‥。
ドキドキする心臓を押さえながら、あたしも自分の机に向かった。
そこに置かれていた名簿は、確かに全部書かれていて。
ちょっとした水樹の優しさが滲みでていた。
「今日はもうおせーから、明日の朝でいいだろ。提出すんの」
「う、うん。じゃあ‥‥帰ろっか‥‥」
トンッと机から降りた水樹は、鞄と今日渡されたばかりの教科書類の入った紙袋を肩にかけた。
あたしも、机の両脇にかけてある鞄と紙袋を持ち上げる。
うっ‥‥‥。
お、重い‥‥‥。
国語辞典と英和辞典まで入っているため、予想以上に紙袋は重く感じた。
「もー子」
不意に後ろから水樹に呼ばれて振り向くと‥‥
「あ‥‥‥‥」