いぢわる兄は同級生









「ここ‥‥‥どこ‥‥?」




まだ入学してから半年も経っていないあたしは、まだ完璧にこの学校の教室の位置を把握していなかった。




この学校は棟がふたつに別れていて、今自分がいる場所は、最近ようやく覚えた一年生の教室がある棟とは別のほうだった。



ましてや、二年生の教室の辺りなんて滅多に来ないので、ここからどう行けば体育館へ行けるなんて分からない‥‥。




さっきまでは三年の大地先輩がいたからこそ、迷わずに歩いてこれたのだが‥‥今はその頼りとなる彼もいない。







要するに‥‥あたしは今、学校の中で迷子になってしまったのだ‥‥。








「ど‥‥どうしよう‥‥‥っ」




急に、一人だという状況にさらなる恐怖感が押し寄せてくる。



どうしようもなくその場にしゃがみこんだあたしは、今にも泣き出してしまいそうだった‥‥。







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