いぢわる兄は同級生
もしかしたら、学校の先生?
入学して今まで、こんな先生見たことなかったけど‥‥この高校の先生をすべて覚えたかと言われると、まだあやふやだ。
というか、こんな時間にこんなところにいるなんて、高校の先生以外あり得ない。
さすがに"先生ですか?"なんて聞くのも失礼だろうと思ったので、あたしはそう納得して、ひとまず安心した。
ジャージの袖で、涙だらけの顔をごしごしと拭くと、その女の先生が不思議そうに尋ねる。
「なんだか、怖がってたみたいだけど‥‥あなたはどうしてこんな時間にこんなところにいるの?」
現に、バスケ部が校内で肝試しをしていることは、バスケ部の顧問しか知らないし。
先生だけども、彼女が知らないのも無理はなかった。
「あの‥‥バスケ部の合宿で‥‥肝試しをしてたんですけど‥‥‥」
「あら、肝試し?青春ねぇ」
そう言って、懐かしそうに目を細める彼女は、そっと微笑んだ。
「さ、さっきまでは三年の先輩と一緒にいたんですけど‥‥はぐれちゃって‥‥」
「あらら‥‥」
「あたし、まだ今年入学したばっかりでどこがどこだかまだ覚えてないから‥‥迷っちゃって‥‥‥‥」
「それで、みんなのところに帰れなくなっちゃったのねぇ」
「‥‥‥はい‥‥」