いぢわる兄は同級生
少し拍子抜けした。
小学校、中学校、そして今。
いろんな先生に関わってきたけど、その中でもこの先生は少し違う。
綺麗事なんかじゃなく、しっかりとした自分の考えを持っている。
「そう、わがまま。悲しむ人がいるから諦めることのできる気持ちなんて、捨ててしまったほうが楽なんだから」
そして、何よりもその言葉が、あたしの胸に響く。
「そう言われても、桃子さんはその気持ち‥‥捨てられる?」
水樹を好きな気持ちを‥‥‥捨てる?
そんなの‥‥‥
「絶対‥‥‥やだ」
真っ直ぐに、真剣な眼差しで先生を見ると、彼女はフワッと笑った。
「それでいいのよ」
そう優しく言われ、つられてあたしも笑う。
すると、不意に後ろから誰かの声が聞こえた。