いぢわる兄は同級生
「‥‥‥桃子ちゃんっ!」
振り返って見ると、そこには汗をかきながら走ってくる大地先輩の姿があった。
「大地先輩‥‥っ!」
あたしの前に来て止まると、ハァハァと息をきらしながらも良かったと安堵の表情を見せた。
「ごめん、歩いてたらいつの間にか桃子ちゃんいなくてさ‥‥今まで探してたんだけど‥‥‥」
「い、いえ‥‥ボーッとして大地先輩のこと見失っちゃったあたしが悪いんです‥‥」
「とにかく良かったよ。今頃怖がって泣いてると思ってたから‥‥‥」
確かに、あの時先生に会っていなかったら、きっとあたしは今頃まだあそこで泣いていたのかもしれない。
「大丈夫です‥‥!だって、先生が‥‥‥‥‥先生‥‥?」
「‥‥‥先生?」
大地先輩に先生を紹介しようと思って、振り返る。
けど‥‥さっきまでそこにいた彼女の姿がない。